《森島》 | 今、こちらでは電力で動かしてるわけですが、今、作っているお召しが高い値段で売れ、お金になれば水車動力で作りたいのですがまだまだです。水車は結構思ったよりお金がかかり、日々毎日動くものですから、各地の先生方に聞くと相当なメンテナンスが必要になり、作った以上は相当な覚悟でやらないとだめだと聞いております。まずは、今の八丁撚糸機[はっちょうねんしき]で作ったお召しで、儲けさせて頂いて、残ったお金でそういうものを目指していこうと考えております。私どもの水車動力と八丁撚糸についての考えはこのようなものです。水車で廻す八丁撚糸機[はっちょうねんしき]からできる糸はきっと、良い糸だと思います。 |
《石川》 | 水車と八丁撚糸機で作った糸って、夢がありますよね。森島さんのところでは、裏に水路の後があるそうですが、水車を廻して八丁撚糸機を動かす予定はあるのでしょうか?水路を掘り返して水を流すとか、市役所に相談するとか、なんとかなると面白いですよね。 |
《森島》 | いや、それでは全然だめです。例えば川を作るわけにいきませんから、そこは行政になんとかしてもらわないといけないです。ですから、循環式にするしかないだろうと思っています。 |
《石川》 | 水車動力と現在のモーターで作った物とでは、多少違いが出てくると思うのですが、どのような違いがありますか? |
《森島》 | それは私が確認したことがないので分かりませんが、資料に書いてあるとおり、水車の動力を利用して、一定の糸が撚れた。ということがあるわけですから、水車の力がその当時最も良かったわけです。同時代にそれを比較したことがないので実際にはわかりませんけれども・・・結構水車が良いかもしれませんね。 |
《藤井》 | 実際私のところも、水車からモーターに切り替えました。水車でやっていると、動力源はひとつですよね。それで八丁撚糸を何台も動かして1台をストップするとですね、他の八丁に響くんですよね。動力源が余るから、回転に「むら」が出てきます。 |
《石川》 | それはいつまでやっていましたか? |
《藤井》 | モーターに切り替えたのが大正15年から昭和元年ですね。当時、電気を引いて他の人に笑われたんですよ。すぐそばに赤岩用水があって水車でやってるのに、なんで新宿通りから電気を引くんだってね。電柱から全て自分の経費で立てさせられたんですよ。親がよくいってました。ですから、動力源のほうが良いと思いますよ。 |