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平成18年度・高齢者が伝える食の知識『粉食と山野草』事業関連資料集
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平成18年度 新・あすへの遺産・事 業 計 画 書

事 業 名

高齢者が伝える食の知恵 『粉食と山野草』事業

実施予定期間

平成 18年度

1 年間

 
目 的 及 び

事 業 内 容


本事業は、高齢者が中心となり多世代間の交流を推進し、高齢者の社会貢献を促進することを目的とする。

桐生市老人クラブ連合会と当NPOは、3年前より『高齢者を主体とした桐生の織物の文化と歴史の発掘・伝承』を行ってきた。先達が蓄積してきた叡智や経験が伝承されることで、本来まちが持っていた、共同体としての基盤が再生される。『まち』を伝える主役は高齢者である。今回は“地域の食文化”に着目し、高齢者が持つ多くの知識と経験を、“食のイベント”を通して地域のアーカイブズ“作りを目指す。

桐生地域は小麦、陸稲、蕎麦などの畑作が主体で、これを使った“粉食”が盛んであった。と同時に、桐生市の70%を占める山野には、多くの草花が生息し、ある時にはお惣菜として、お茶として、そして民間薬として利用されてきた。このように“粉食”や“山野草”が桐生の食文化を作り出していた。

 しかしながら、核家族化、欧米型食生活への移行などの生活様式の変化に伴い、インスタント食品、レトルト食品が主流となり、地域の食文化は失われつつある。

 上記の桐生地域の食文化の記憶“を基に、桐生市老人クラブ連合会を中心とした高齢者と群馬大学学生、NPOスタッフの調査研究から、各種情報機器やインターネットを使い、次の世代に語り継ぐ”新しい食文化“の創造を見据えた活動を企画した。

 ITを応用したチーム自体が多世代交流になることで、多様な経験を共有できる。膨大な時間と人々の記憶や技術を総動員して作っていくコミュニティ・アーカイブズの構築が、まちを活性化させ、まちを創り続けることになる。

【事業の先駆性】
高齢者は生活の中で伝承・蓄積した粉食文化“や”山野草“の知識や利用経験を豊富に持つが、それを後世に伝え残すには多世代による各種のサポートが必要である。この事業の先駆性は、食のイベントの開催や講演をとおして、その記録・編集・校正・発信などの技術向上をはかり、情報化を道具とした地域の文化・歴史を伝承する事業を継続する仕組み作りにある。最大の成果は、高齢者の社会貢献の場が出来ることである。これらコミュニィティアーカイブズ事業が、未来の町の大きな財産となる。

 【事業内容】

1.     委員会の設置

@     設置目的
講演会のコンセプト作りと進捗管理、編集作業へのアドバイス等を行う

A     委員会の構成(計7名)
委員長 富山慶典  群馬大学社会情報学部教授
委員 西山 裕     NPO法人FUSION・副理事長
    石川祐策   桐生市老人クラブ連合会・出版事業部長(※)
    大里政由  桐生食研究会主宰
    長田克比古 NPO法人桐生地域情報ネットワーク・副理事長
    野口健二  FM桐生開設準備室
    小保方貴之 (有)Bless社長

B     事務局・塩崎泰雄、小林隆子、吉田薫

C     年6回開催予定(8,9,10,11,2,3月)
 

2.     “粉食と山野草を考える”イベントの開催

@     開催目的
蕎麦打ちや山野草の知識豊富な高齢者が中心となり、“蕎麦打ち”文化と技術、“山野草”の採取と使い方の伝承をとおした勉強会や食イベントを開催し、新しい食文化の創造を目指す。地域住民、特に多世代の参加が見込めるように工夫したイベントにする。

A     講師リスト
地域の蕎麦打ち名人や、山野草研究家、小麦の栽培者を招聘する。

B     開催時期・場所・参加対象者
平成18年9,10,11月に6回講演と麺打講習会;会場は桐生地域地場産業振興センターや公民館を予定。参加者は食文化に興味のある方々平成1810月〜平成192月までに秋と冬の3回“食のイベント”を開催する。会場は野外を予定し参加者は多世代、1300名程度。

3.     スケジュール
@平成188
 プロジェクト委員会を召集し,基本コンセプトと計画案を作成。
A平成189
  “食のイベント”実行委員会の設立
 (企画作成、プレゼン術、食材など)
  市内外から講師を招聘し6回の講演会を開催。
  (織物職人や高齢者を中心に50名)
  蕎麦打ち実践
  (地域の蕎麦打ち名人を目指す20名)
 
講演や実践の内容は同時にインターネット配信される。
B平成1810月〜平成192
 秋〜冬と3回の“食のイベント”を桐生市内各所で開催する。
 イベントの内容は同時にインターネット配信される。
C平成183
 報告書作成、Web作成。(講演要約は逐次Web公開を行う)
 成果報告会(予定)

4.     報告書とWebコンテンツ制作と公開
報告書作成とWebページ作成のために、講座内容の要約・写真・インターネット資料を揃える。資料は関係機関へも配布予定。
 

 


期待される
効 果


◆高齢者の生きがいつくりと地域貢献

高齢者の記憶の集積は地域の文化・歴史は貴重な資産であり
今後も継続される本事業は、高齢者の生き甲斐づくりになる。

◆多世代交流

多くの講演会とその編集作業を通して若い世代との交流が図られ
高齢者は意欲的に外出するようになる。


◆高齢者のITスキルアップ(デジタルディバイドの解消)

大学生が助けながら、講演資料作成や、執筆・編集活動に必要なPC操作やインターネット利用方法を高齢者が習得する。

◆地域の文化歴史継承

桐生地域の食文化を担ってきた高齢者の貴重な記録は、そのものが文化であり、共同の編集作業を通して文化や歴史の伝承も行われる。

 


事業の普遍性
について

 


『まち』は、多くの人々が生活し続けて創られてきており、『まち』は、自然・歴史・技術・生き方そのものである。『まちを知り・まちを残し・まちを伝え続けながら、次世代に引き継ぐまち(=未来の子供たちが愛するまち)を創ること』が現在の人々に求められている。

 まちを創り続けるために高齢者の知恵や経験が必要とされ、高齢者の経験が求められる場が増加しているが、年齢差10歳内外の同世代間交流に留まる日常生活の中では、高齢者の経験や叡智が世代を越えて伝わる機会は少ない。

 しかし、当事業のように独自の題材を選ぶことができれば、多世代がチームを組んで企画・運営・実践することで、全国それぞれのまちのコミュニティ・アーカイブズを構築することが可能である。


将 来 計 画

 
今回は、高齢者が伝える食の知恵『山野菜と粉食』を題材としたが、引き続き、祭・風物・戦争・流行・等々について継続事業を行う。
高齢者の持つ知恵や経験は、地域らしさの根源であり、次の世代に語り伝えることは、高齢者の大きな喜びであり、生きがいである。
更に、高齢者と大学生との共同作業の中から、自覚や相互認識が生まれ、新しい形のコミュニティーが形成される。
この事業を継続して支援することは『情報化を手段としたまちづくり』を目指す、当NPOの第一の目標である。

 

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