本事業は、高齢者が中心となり多世代間の交流を推進し、高齢者の社会貢献を促進することを目的とする。
桐生市老人クラブ連合会と当NPOは、3年前より『高齢者を主体とした桐生の織物の文化と歴史の発掘・伝承』を行ってきた。先達が蓄積してきた叡智や経験が伝承されることで、本来まちが持っていた、共同体としての基盤が再生される。『まち』を伝える主役は高齢者である。今回は“地域の食文化”に着目し、高齢者が持つ多くの知識と経験を、“食のイベント”を通して”地域のアーカイブズ“作りを目指す。
桐生地域は小麦、陸稲、蕎麦などの畑作が主体で、これを使った“粉食”が盛んであった。と同時に、桐生市の70%を占める山野には、多くの草花が生息し、ある時にはお惣菜として、お茶として、そして民間薬として利用されてきた。このように“粉食”や“山野草”が桐生の食文化を作り出していた。
しかしながら、核家族化、欧米型食生活への移行などの生活様式の変化に伴い、インスタント食品、レトルト食品が主流となり、地域の食文化は失われつつある。
上記の桐生地域の”食文化の記憶“を基に、桐生市老人クラブ連合会を中心とした高齢者と群馬大学学生、NPOスタッフの調査研究から、各種情報機器やインターネットを使い、次の世代に語り継ぐ”新しい食文化“の創造を見据えた活動を企画した。
ITを応用したチーム自体が多世代交流になることで、多様な経験を共有できる。膨大な時間と人々の記憶や技術を総動員して作っていくコミュニティ・アーカイブズの構築が、まちを活性化させ、まちを創り続けることになる。
【事業の先駆性】
高齢者は生活の中で伝承・蓄積した”粉食文化“や”山野草“の知識や利用経験を豊富に持つが、それを後世に伝え残すには多世代による各種のサポートが必要である。この事業の先駆性は、食のイベントの開催や講演をとおして、その記録・編集・校正・発信などの技術向上をはかり、情報化を道具とした地域の文化・歴史を伝承する事業を継続する仕組み作りにある。最大の成果は、高齢者の社会貢献の場が出来ることである。これらコミュニィティアーカイブズ事業が、未来の町の大きな財産となる。
【事業内容】
1.
委員会の設置
@
設置目的
講演会のコンセプト作りと進捗管理、編集作業へのアドバイス等を行う
A
委員会の構成(計7名)
委員長 富山慶典 群馬大学社会情報学部教授
委員 西山 裕 NPO法人FUSION・副理事長
石川祐策 桐生市老人クラブ連合会・出版事業部長(※)
大里政由 桐生粉食研究会主宰
長田克比古 NPO法人桐生地域情報ネットワーク・副理事長
野口健二 FM桐生開設準備室
小保方貴之 (有)Bless社長
B
事務局・塩崎泰雄、小林隆子、吉田薫
C
年6回開催予定(8,9,10,11,2,3月)
2.
“粉食と山野草を考える”イベントの開催
@
開催目的
蕎麦打ちや山野草の知識豊富な高齢者が中心となり、“蕎麦打ち”文化と技術、“山野草”の採取と使い方の伝承をとおした勉強会や食イベントを開催し、新しい食文化の創造を目指す。地域住民、特に多世代の参加が見込めるように工夫したイベントにする。
A
講師リスト
地域の蕎麦打ち名人や、山野草研究家、小麦の栽培者を招聘する。
B
開催時期・場所・参加対象者
平成18年9,10,11月に6回講演と麺打講習会;会場は桐生地域地場産業振興センターや公民館を予定。参加者は食文化に興味のある方々平成18年10月〜平成19年2月までに秋と冬の3回“食のイベント”を開催する。会場は野外を予定し参加者は多世代、1回300名程度。
3.
スケジュール
@平成18年8月
プロジェクト委員会を召集し,基本コンセプトと計画案を作成。
A平成18年9月
“食のイベント”実行委員会の設立
(企画作成、プレゼン術、食材など)
市内外から講師を招聘し6回の講演会を開催。
(織物職人や高齢者を中心に50名)
蕎麦打ち実践
(地域の蕎麦打ち名人を目指す20名)
講演や実践の内容は同時にインターネット配信される。
B平成18年10月〜平成19年2月
秋〜冬と3回の“食のイベント”を桐生市内各所で開催する。
イベントの内容は同時にインターネット配信される。
C平成18年3月
報告書作成、Web作成。(講演要約は逐次Web公開を行う)
成果報告会(予定)
4.
報告書とWebコンテンツ制作と公開
報告書作成とWebページ作成のために、講座内容の要約・写真・インターネット資料を揃える。資料は関係機関へも配布予定。
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