塩崎:続きまして『桐生キネマ塾』の田所一夫さん、よろしくお願いします。キネマ塾では桐生の古い動画を収集されまして、それを電子化するという作業を今年始めたところです。
田所:『桐生キネマ塾』の田所と申します。
私たちの団体は、群馬県の文化の芽という支援事業を受けまして、『桐生地域情報ネットワーク』と協力して、古い映像、8ミリですとか16ミリフィルムを、VHSあるいはDVへの変換する事業を行っております。
これは従来ですと非常に高価な機械を使わねば変換できないのですが、そこを安価に変換できる方法を見つけまして、現在それを行っております。と言いますのも、フィルムというのは1秒間に24フレームで上映されるものなんですが、通常テレビで見ているものは1秒間に30フレームで動いています。そこで6フレームの誤差が生じるわけで、それが変換を困難にしている一つの原因でした。しかし、その6フレームをある方法によって簡単に、と言っても作業工程は長いのですが、機械を使わずに変換できる方法を見つけてそれを行っているのです。しかし、ただ変換しただけでは面白くありませんから、その変換した映像に、音楽とナレーションを入れて、一つの作品に組み立てるという方法をとっています。
これも面倒な方法なのですが、一般の方を公募して、プロのナレーション講座にお願いして、ナレーションができるまで訓練して頂き、そしてナレーションを入れるという方法をとりました。音楽も著作権が絡みますので、作曲してこれを加えるという方法をとっています。
これから皆さんに3本の映像を観て頂きます。
一本目は昭和13年に撮影されたらしいという、モノクロ16フィルムです。15分ほどあったものを3分に編集しています。これは日本ケンレン株式会社の製糸工場の様子です。実はこのフィルムは骨董市で発見されました。
二本目が、今年85歳になる河原井源次さんが昭和29年に撮影された8ミリのカラーフィルムです。これはタイムリーな話題ですが、桐生市と菱町と川内と梅田が合併したときのお祝いのお祭りを記録したものです。
三本目ですが、昨年、有鄰館で行われたインド祭りの時のCM用ビデオになります。これは編集に携わる人間が必ずしたがることなんですが、色々な編集用ソフトをどれだけ駆使すると、どのぐらいの作品ができるのだろうと、特に若い方はそこに興味があったりします。そこで色んなソフトを駆使して1分間の映像にまとめたものです。
ではご覧ください。
(ビデオ放映中)
ありがとうございます。三本の映像を観ていただきました。
最初の映像は昭和13年ですから、戦前になります。これはまだ検証していないんですが、色んな意見がありまして、例えば、桐生は織物が有名だということで、空挺部隊のパラシュートを作るための糸を作っていたんじゃないかとも言われています。これはこれから検証していこうと思っています。
二つ目の河原井源次さんの映像ですが、当時のお祭りの様子ですね。もちろん映像ですから、楽しいところだけが映っていますけれども、今考えると色んなことがあったんだろうと想像がつきます。この頃に給食が始まって、合併をお祝いした合併パンというのが給食で出たということを聞いています。
三つ目の映像は、プレミアという映像編集ソフトがあるのですが、それとフォトショップという画像を編集するソフトの二つだけを駆使して作った映像です。これは夜中にみんなで作って、2週間ぐらいかかりました。
私たちは古い映像から知りうる情報があるということを発見いたしました。それともう一つ、こういうものを編集していくエネルギーというのは、個としての好奇心を満足させるものでないと続かないということです。あまり公的な目標を立てても、なかなか続きませんので、あくまでも個としての技術などを満足させた上で、結果として公的なところに役立っていければいいなと考えています。
将来的な目標としては、この映像をコンピュータ上で、要するにインターネット上で色んな方が見ていただける環境を作って色んな方に検証していただきたいということが一つと、それから世界の相当な地域に映像が眠っていると考えられるので、それらを各地域で編集し、インターネット上で予選が出来て、将来的に桐生市で、それらのアーカイブスの映画祭ができたら面白いなと考えています。
最後に、最近富岡市で古い映像が発掘されたのですが、そこで約50本の8ミリフィルムが見つかりました。その中に、昭和33年に第一回の『群馬吹奏楽コンテスト』というのがあって、その映像が発見されたのです。貴重なものなので、これを近いうちに編集し発表したいと思っています。
それから、この事業を進めていくうちに、今まで気づかなかったフォーマットがあることがわかりました。VHS、ソニーが作ったβ、それから8ミリというビデオテープがありましたが、実は、6ミリビデオというのもあったようです。これは2年間しか製造されていなかったもので、ビデオ業界が伸びていく初期段階に、日立製作所とフナイというところが作ったフォーマットです。
今、これを再生できる装置がありません。日立の方に問い合わせてもないそうです。
非常に貴重な映像が映っているらしいという噂だけで、私たちはこのフォーマットのあるテープを手に入れたんですが、再生する方法が全くありません。そのフォーマットを開発するとなると、企業側に言わせると数千万かかるということで、今後やる予定はないと言われてしまいました。
このテープを撮った方はお亡くなりになっているので真相は定かではありませんが、見ると驚く映像が映っているとのことです。世界20カ国ぐらいを歩いていた方で、クレムリンの内部とか映っているんだよと遺言がありました。
もしその6ミリについての情報を持っている方がいらしたら、是非教えていただきたいと思います。
以上で私の発表は終わります。
塩崎:ありがとうございました。お話にありましたように各地にこのような映像が残っていると思います。桐生にも残っているのですが、発見したときには古い資料は朽ち果てそうなものがたくさんあって、今やらないときっと無くなってしまうという現実があるのです。これらを残す必要があると考え、我々と桐生キネマ塾で協力してこの事業を行っていきたいと思っています。
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