桐生お召しに関わる職人たち
桐生お召しと職人の系譜
桐生市老人クラブ連合会/NPO法人桐生地域情報ネットワーク




 ここの3点の写真は群馬大学啓真寮で行われた餅つき。近所のお年寄りや子供も参加する人気の恒例イベントだということ。写真が小さくてわかりにくいが、左上の写真でカメラを構えているのは小堀さん(参照)、上と左の写真には藤井さん(参照)が写っている。
 新あすへの遺産のインタビューを通して、私は桐生織物の職人たちと出逢った。当時は家業を継ぐことが当たり前で、そこに選択肢がなかったことは聞いていたが、職人さんの話はとても刺激的で実際に聞いた時の驚きは今でも鮮明に残っている。
 小堀さんの取材を終えて間もない12月14日に、私が住んでいる群馬大学啓真寮で餅つきイベントが開かれた。そこで、私達は今回取材させて頂いた職人さんたちを招待した。連絡から開催までにほとんど時間がなかったものの、小堀さんと藤井さんに足を運んで頂けた。そこでは、取材では話せなかったことなどを話したり、大変充実した時間を過ごせた。何よりも私がどんな仲間、どんな所で学生生活をおくっているのかを知って頂けたことが一番良かったと感じている。
 この様な交流を「世代間交流」というのかもいれない。しかし私にとっては、今回の取材を通してたまたま知り合った方々に強い関心を持ち、その人達ともっと話がしたいと思ったから行動したまでに過ぎない。最近は世代間交流をテーマに様々なイベントが企画されて開催されているが、私は他力本願的な場の提供だけのイベント開催だけにはなって欲しくないと感じている。
 相田みつをの詩に次のようなものがある。
 “その時の出逢いは人生を根底からくつがえすことがある良き出逢いを”
 交流なんて大それたことを言うつもりは無い。私は、出会うことで感じる彼等の人間としての力に素直に敬意を持ち続けたいと思っている。
 1つの柄を生み出すのに6000枚以上の紋紙が必要になることもある。多くの紋紙を使うことでより複雑な柄ができる。もし人柄を豊かにできるなら、それはこれまでに接して来た人やこれから接する人と築く関係によって決まってくるのだと思う。そう考えると、世代、交流という言葉から離れて、人と接する姿勢や気持ちこそが大切なことなのではないかと感じている。/(孝)

<< 前のページ 次のページ >>

はじめに
桐生お召しから龍村織物専属デザイナーへ
“柄”を生み出す演奏家
桐生で唯一の絹専門の染め屋
今もなお現役で筆を握る図案作家
2人の整経屋からみた現実と未来
高速化に対応して世界屈指の職人へ
桐生織物の職人たち
機械直しから紗織の名人へ
全盛期を支えたお召し織物の稼ぎ頭
経糸と共に繋いだ夫婦の絆
商品の価値を決める最終段階
桐生の織物産業を陰で支える
あの光景を再び。桐生で八丁撚糸機を動かした立役者
シンポジウム
職人が語る桐生お召しの系譜

ちょっと一息/コラム
“世代間交流”とは何か?
“織物の街”桐生、“うどんの街”桐生
“近代遺産”の街−桐生、その現実
陰で支えた二つの内助の功
編集後記