桐生お召しに関わる職人たち
桐生お召しと職人の系譜
桐生市老人クラブ連合会/NPO法人桐生地域情報ネットワーク

小平 それがフロッピーになったら楽なものですよ。紋紙自体いらないし、機械が勝手にやってくれるんですから。そのかわりコンピュータが壊れちゃうと2日でも3日でも直らないんですけど。あれはもう専門家が入らないと駄目だからね。

吉田 機織りや機屋の領域じゃないからね。

小平 機械直しだって、それを直せる人っていうのは電気関係専門の人じゃないといけないし、なかなかいないんですけどね。

――壊れるというのはどういう状態になることですか?元に戻せないとかそういうことですか?

吉田 それは色々あってね。とにかく織機というのは合理的にできているんだけど、言ってしまえば誠に幼稚なんですよ。ですから壊れるというより故障ですね。

小平 らせんが切れても駄目、針金が伸びちゃっても駄目、そんなつまらない故障なんですよ。昔の機械はそういうのがしょっちゅうありました。

吉田 そういった機械が何十台ってあるから、機械直しも結構いたね。

小平 6台に1人ぐらいの割合でいましたね。

大阿久 機械が壊れても、機織りの手で油の付いた部品とかをいじると、絹まで汚れちゃうでしょう。だから壊れた時はいちいち機械直しさんに頼んだんですよ。ちょっとした事でも自分たちで触れないもんだから、機械直しさんは余計に要りましたね。

小平 随分いたね。裏が4人で表が2人。
 それから我々の異動もありましたね。第1、第2、第3工場まであって、だいたい1年に1回ぐらいのペースで交代していました。


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はじめに
桐生お召しから龍村織物専属デザイナーへ
“柄”を生み出す演奏家
桐生で唯一の絹専門の染め屋
今もなお現役で筆を握る図案作家
2人の整経屋からみた現実と未来
高速化に対応して世界屈指の職人へ
桐生織物の職人たち
全盛期の頃の森秀織物
織物業界の新アイデア
機械直しの役割
合理化された織機
機織の仕事
完全出来高制の機織の給与
機織りの育て方
機械直しから紗織の名人へ
全盛期を支えたお召し織物の稼ぎ頭
経糸と共に繋いだ夫婦の絆
商品の価値を決める最終段階
桐生の織物産業を陰で支える
あの光景を再び。桐生で八丁撚糸機を動かした立役者
シンポジウム
職人が語る桐生お召しの系譜

ちょっと一息/コラム
お召しチャート
編集後記

 

当時のお話が次々と語られてゆくのは座談会形式ならでは。