吉田 経糸が上がった時に緯糸を通す道具がシャトル。日本語では杼と言うね。
小平 このシャトルに付いているのは猫の毛。
――えー!!猫!!
小平 かわいそうだろう(笑)。
――あはは。かわいそうだろうって……。なんでシャトルの内側に毛が付いているんですか?
小平 空回りしないようにだね。シャトルがバチンバチンって左右に行ったり来たりしているうちに、中にある管が空回りすると糸がこぼれてきちゃって、たるみができるんだよ。それを毛が抑えてくれるの。
――なんで猫の毛なんですか?
小平 まあ、なんでだろね、一番良いんだよね。でも最近は人造猫毛っていう、人造毛を使ってるよ。
――やっぱり違うんですか?
小平 全然違うね。本物の方がよく言う事を聞いてくれる。
――シャトルが収まるところが4つずつ左右に付いてますね。最高でどれくらい付くものなんですか?
吉田 12くらいのありましたよね。
小平 こっちの杼が向こうにいったらここが空くでしょ。そしたら向こうから次の杼がここにくる。
――じゃあ1か所空いてるとこがあれば行けるんだから、左右で12ずつなら、数字の上では23本も使えるってことになるのか。
小平 まあ、ここいらでやってるのは、多くても6本とか8本だね。普通は3本ぐらいしか使ってないよ。将棋の駒を動かすように、これも使い様によっては空いてるところにいけば良いわけだから、いくつも持っていき方はあるんさね。でもそんなに複雑なものを織ることはないよ。 |