桐生お召しに関わる職人たち
桐生お召しと職人の系譜
桐生市老人クラブ連合会/NPO法人桐生地域情報ネットワーク

藤井 これは私の見解だけれど、桐生の八丁は昔からやってた人が、いろいろ研究しながら桐生お召しに適した八丁に改良したわけ。前回のシンポジウムでも出たんだけど、桐生の八丁と足利市の葉鹿町の八丁は違うんだけど、それは葉鹿でも同じようにその土地の織物に適した八丁に段々作り変え、進歩していったんだから違うんさ。

太縄 そういう話は私も初めて聞きました。

藤井 だからこれあくまで私の見解だけど、境野の帯屋さんに縫い取りお召しのブームがきたでしょ?帯を辞めてみんな縫い取りお召しに切り替えた時期があって、急に桐生の撚り屋が忙しくなっちゃったわけ。そうなると、すぐ川の向こうの葉鹿に行けば八丁撚糸があるんだからって、そこ行って緯糸を撚らしたり、あるいは撚り屋の方も、全部一括して糸を出して、機屋は小売りされた糸でお召しを作ったわけ。
 おまけに機屋さんもブームだから忙しくシボ取りしたのを干すがね、それがちゃんと乾かないうちに整理に出したり、早く商品をまわしてくれってなったんだよね。だからもう良いも悪いも何もないんだよ。

太縄 どうゆうわけかほんとに全部消えましたもんね。

藤井 一番の理由は流行もあるんだけども、お召しが粗製濫造されたんで、「雨に濡れれば縮んじまう」っていう話だけが行き渡っちゃった。悪いのがそうだったんだよ。だって戦前はそんな話は無かったんですよ。桐生のお召しは雨にかかると縮んじまうという話はなかった。

――うちの叔母も桐生お召しのことを「水に強い高級な普段着」って言ってました。


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はじめに
桐生お召しから龍村織物専属デザイナーへ
“柄”を生み出す演奏家
桐生で唯一の絹専門の染め屋
今もなお現役で筆を握る図案作家
2人の整経屋からみた現実と未来
高速化に対応して世界屈指の職人へ
桐生織物の職人たち
機械直しから紗織の名人へ
全盛期を支えたお召し織物の稼ぎ頭
経糸と共に繋いだ夫婦の絆
商品の価値を決める最終段階
桐生の織物産業を陰で支える
桐生の織物産業を陰で支える
機料屋の仕事
桐生から無くなる機料工場
客観的に見た桐生織物業界
織物の道具
意外な接点を作った機械
藤井さん家の機械の行方
錘・垂ず輪・スピンドル
お召しが衰退したもう一つの原因
八丁撚糸の復活
猫の毛皮
桐生の織物機械
大縄機料に残る様々な道具と機械
海外に残る桐生の織機
シンポジウム
職人が語る桐生お召しの系譜

ちょっと一息/コラム
お召しチャート
編集後記

 

桐生お召しが一つのブランドとして確立したためにお召しの粗製濫造が起きたと語る藤井さん。